介護弁護士 夜間も対応 運営:阿部・楢原法律事務所

運営:弁護士法人
阿部・楢原法律事務所

介護弁護士.com

上肢(腕部)、手指の障害

上肢(腕部)の障害

<上肢とは>

上肢とは、人間の腕や手のことです。上腕・前腕・手関節が含まれます。

上肢は、鎖骨・肩甲骨・上腕骨・橈骨・尺骨の5つの骨から構成されています。橈骨と尺骨は、あわせて腕骨と呼ばれています。

上肢の3大関節は、肩関節・ひじ関節・手関節です。これらの関節の間に、上腕骨・橈骨・尺骨の3つの長管骨があります。

肩関節からひじ関節までを上腕、ひじ関節から手関節までを前腕といい、前腕にある橈骨と尺骨は前腕骨とも呼ばれます。

 

<上腕の後遺障害>

上肢の後遺障害は、①欠損障害、②機能障害、③変形障害、④醜状障害に分かれます。

 

<後遺障害別等級表・労働能力喪失表・慰謝料表>

等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力喪失率 慰謝料額

:裁判基準

欠損障害 1級3号 両上肢を肘関節以上で失ったもの 3,000万円 100/100 2,800万円
2級3号 両上肢を手関節以上で失ったもの 2,590万円 100/100 2,370万円
4級4号 1上肢を肘関節以上で失ったもの 1,889万円 92/100 1,670万円
5級4号 1上肢を手関節以上で失ったもの 1,574万円 79/100 1,400万円
機能障害 1級4号 両上肢の用を全廃したもの 3,000万円 100/100 2,800万円
5級6号 1上肢の用を全廃したもの 1,574万円 79/100 1,400万円
6級6号 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 1,296万円 67/100 1,180万円
8級6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 819万円 45/100 830万円
10級10号 1上肢の3第関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの 461万円 27/100 550万円
12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 224万円 14/100 290万円
変形障害 7級9号 1上肢に偽関節を残し,著しい運動障害を残すもの 1,051万円 56/100 1,000万円
8級8号 1上肢に偽関節を残すもの 818万円 45/100 830万円
12級8号 長管骨に変形を残すもの 224万円 14/100 290万円
醜状損害 14級4号 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの 75万円 5/100 110万円

 

欠損障害について

上肢の欠損障害とは、上肢の一部を失うことです。ひじ関節以上か手関節以上か、それが両上肢に生じたか一方の上肢に生じたかにより、等級が認定されます。

等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力喪失率 慰謝料額

:裁判基準

欠損障害 1級3号 両上肢を肘関節以上で失ったもの(*1) 3,000万円 100/100 2,800万円
2級3号 両上肢を手関節以上で失ったもの

(*2)

2,590万円 100/100 2,370万円
4級4号 1上肢を肘関節以上で失ったもの 1,889万円 92/100 1,670万円
5級4号 1上肢を手関節以上で失ったもの 1,574万円 79/100 1,400万円

(*1):「上肢をひじ関節以上で失ったもの」とは、上肢を肩関節からひじ関節までの間で切断し失ったものをいいます。肩関節またはひじ関節において離断したものも含まれます。

(*2):「上肢を手関節以上で失ったもの」とは、上肢をひじ関節を残し、手関節までの間で切断し失ったものをいいます。手関節において離断したものも含まれます。

 

機能障害について

上肢の機能障害とは、肩関節・ひじ関節・手関節の3大関節の動きの障害です。

その程度及び障害が両上肢に生じたか、一方の上肢に生じたかによって等級が認定されます。

等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力喪失率 慰謝料額

:裁判基準

機能障害 1級4号 両上肢の用を全廃したもの(*1) 3,000万円 100/100 2,800万円
5級6号 1上肢の用を全廃したもの 1,574万円 79/100 1,400万円
6級6号 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの(*2) 1,296万円 67/100 1,180万円
8級6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 819万円 45/100 830万円
10級10号 1上肢の3第関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの(*3) 461万円 27/100 550万円
12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 224万円 14/100 290万円

(*1):「上肢の用を全廃したもの」とは、肩関節・ひじ関節・手関節の3大関節のすべてが強直し、かつ、手指の全部の用を廃したものをいいます。上腕神経等の完全麻痺もこれに含まれます。なお、関節の「強直」とは、完全強直またはこれに近い状態にあるものをいいます。完全強直とは、全く動かなくことですが、完全強直に近い状態とは、関節の可動域が、原則として健側の可動域の10%程度以下に制限を受けているものをいいます。

(*2)上肢の3大関節についての「関節の用を廃したもの」とは、関節が完全強直またはこれに近い状態となったもの、関節の完全弛緩性麻痺または完全弛緩性麻痺に近い状態になったもの、人工関節または人工骨頭を挿入置換したものでその可動域が健側の1/2以下に制限されているものをいいます。

(*3):一般に「著しい機能障害」と呼ばれるものです。これは患側の関節可動域が健側の1/2以下に制限されたもの、または人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうちその可動域が健側の可動域角度の1/2以下には制限されていないものをいいます。

 

変形障害について

上肢の変形障害とは、偽関節を残すもの又は長管骨にゆ合不全を残すものです。

偽関節とは、骨折等による骨方間のゆ合機転が止まって異常可動を示すものです。

等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力喪失率 慰謝料額

:裁判基準

変形障害 7級9号 1上肢に偽関節を残し,著しい運動障害を残すもの(*1) 1,051万円 56/100 1,000万円
8級8号 1上肢に偽関節を残すもの 818万円 45/100 830万円
12級8号 長管骨に変形を残すもの(*2) 224万円 14/100 290万円

(*1):「1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは、上腕骨の骨幹部または骨幹端部(以下「骨幹部等」という。)にゆ合不全を残す場合、または、前腕骨の両方、すなわち橈骨および尺骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残す場合であって、常に硬性補装具を必要とするものがこれに当たります。

(*2)「長管骨に変形を残すもの」には、認定基準上、以下の6つの基準が定められています。

①上腕骨に変形を残すもの、または、橈骨および尺骨の両方に変形を残すもので、その変形が外部から見てもわかる程度以上のもの

②上腕骨、橈骨または尺骨の骨端部にゆ合不全を残すもの

③橈骨または尺骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので硬性補装具を必要としないもの

④上腕骨、橈骨または尺骨の骨端部のほとんどを欠損したもの

⑤上腕骨 (骨端部を除く)の直径が2/3以下に、または、橈骨もしくは尺骨(それぞれの骨端部を除く)の直径が1/2以下に減少したもの

⑥上腕骨が50度以上の外旋または内旋変形でゆ合しているもの

 

醜状障害について

等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力喪失率 慰謝料額

:裁判基準

醜状障害 14級4号 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの 75万円 5/100 110万円

 

手指の障害

手指の後遺障害は、①欠損障害、②機能障害に分かれます。

<後遺障害別等級表・労働能力喪失表・慰謝料表>

等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力喪失率 慰謝料額

:裁判基準

欠損障害 3級5号 両手の手指の全部を失ったもの 2,219万円 100/100 1,990万円
6級8号 1手の5の手指又は親指を含み4の手指を失ったもの 1,296万円 67/100 1,180万円
7級6号 1手の親指を含み3の手指を失ったもの又は親指以外の4の手指を失ったもの 1,051万円 56/100 1,000万円
8級3号 1指の親指を含み2の手指を失ったもの又は親指以外の3の手指を失ったもの 819万円 45/100 830万円
9級12号 1手の親指又は親指以外の2の手指を失ったもの 616万円 35/100 690万円
11級8号 1手の人差し指,中指又は薬指を失ったもの 331万円 29/100 420万円
12級9号 1手の小指を失ったもの 224万円 14/100 290万円
13級7号 1手の親指の指骨の一部を失ったもの 139万円 9/100 180万円
14級6号 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 75万円 5/100 110万円
機能障害 4級6号 両手の手指の全部の用を廃したもの 1,889万円 92/100 1,670万円
7級7号 1手の5の手指又は親指を含み4の手指の用を廃したもの 1,051万円 56/100 1,000万円
8級4号 1手の親指を含み3の手指の用を廃したもの又は親指以外の4の手指の用を廃したもの 819万円 45/100 830万円
9級13号 1手の親指を含み2の手指の用を廃したもの又は親指以外の3の手指の用を廃したもの 616万円 35/100 690万円
10級7号 1手の親指又は親指以外の2の手指の用を廃したもの 461万円 27/100 550万円
12級10号 1手の人差し指,中指又は薬指の用を廃したもの 224万円 14/100 290万円
13級6号 1手の小指の用を廃したもの 139万円 9/100 180万円
14級7号 1手の親指以外の手指の遠位端指節間関節を屈伸することができなくなったもの 75万円 5/100 110万円

 

欠損障害について

手指の欠損障害とは、「手指を失ったもの」と「指骨の一部を失ったもの」を指します。

「指を失ったもの」とは、親指では指節間関節、その他の四本の指では近位指節間関節以上で指を失ったものをいいます。

「指骨の一部を失ったもの」とは、1指骨の一部を失ったものをいいます。その程度は、指骨の一部を失っている(遊離骨片の状態を含む)ことがエックス線写真等で確認できるものをいいます。

等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力喪失率 慰謝料額

:裁判基準

欠損障害 3級5号 両手の手指の全部を失ったもの 2,219万円 100/100 1,990万円
6級8号 1手の5の手指又は親指を含み4の手指を失ったもの 1,296万円 67/100 1,180万円
7級6号 1手の親指を含み3の手指を失ったもの又は親指以外の4の手指を失ったもの 1,051万円 56/100 1,000万円
8級3号 1指の親指を含み2の手指を失ったもの又は親指以外の3の手指を失ったもの 819万円 45/100 830万円
9級12号 1手の親指又は親指以外の2の手指を失ったもの 616万円 35/100 690万円
11級8号 1手の人差し指,中指又は薬指を失ったもの 331万円 29/100 420万円
12級9号 1手の小指を失ったもの 224万円 14/100 290万円
13級7号 1手の親指の指骨の一部を失ったもの 139万円 9/100 180万円
14級6号 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 75万円 5/100 110万円

 

機能障害について

手指の機能障害とは、「手指の用を廃したもの」と「親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」を指します。

等級 後遺障害 自賠責保険金額 労働能力喪失率 慰謝料額

:裁判基準

機能障害 4級6号 両手の手指の全部の用を廃したもの(*1) 1,889万円 92/100 1,670万円
7級7号 1手の5の手指又は親指を含み4の手指の用を廃したもの 1,051万円 56/100 1,000万円
8級4号 1手の親指を含み3の手指の用を廃したもの又は親指以外の4の手指の用を廃したもの 819万円 45/100 830万円
9級13号 1手の親指を含み2の手指の用を廃したもの又は親指以外の3の手指の用を廃したもの 616万円 35/100 690万円
10級7号 1手の親指又は親指以外の2の手指の用を廃したもの 461万円 27/100 550万円
12級10号 1手の人差し指,中指又は薬指の用を廃したもの 224万円 14/100 290万円
13級6号 1手の小指の用を廃したもの 139万円 9/100 180万円
14級7号 1手の親指以外の手指の遠位端指節間関節を屈伸することができなくなったもの(*2) 75万円 5/100 110万円

(*1):「手指の用を廃したもの」とは、手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったものをいいます。ただし、末節骨の欠損がその長さの1/2に達しなければ、「手指の用を廃したもの」ではなく、「指骨の一部を失ったもの」として認定されます。親指では中手指節関節または指節間関節、他の四本の指では、中手指節関節または近位指節間関節に著しい運動障害を残すものも、「手指の用を廃したもの」として取り扱われます。ここで、「著しい運動障害を残すもの」とは、患側の関節可動域が健側の1/2以下になったもの指します。また、親指では、横側外転または掌側外転のいずれかが健側の1/2以下になったものも「著しい運動障害を残すもの」として取り扱います。さらに、手指の末節の指腹部および側部の深部感覚および表在感覚が完全に脱失したものも「手指の用を廃したもの」として取り扱います。

(*2):「遠位指節間関節を屈伸することができないもの」とは、遠位指節間関節が強直したものをいいます。また、屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって、自動で屈伸ができないものまたはこれに近い状態にあるものもこれに当たります。

部位別の後遺障害認定基準一覧ページに戻る



  • フリーダイヤル 0120-966-298
  • Web相談申し込み