介護事故の類型
介護現場において発生する事故・トラブルは、以下のように様々なものがあります。
①転倒事故(事故のうち8割を占めると言われています)
…歩行中、車いすやベッドからの移乗時、浴室・トイレ利用時などに転倒してしまう類型の事故です。
②誤嚥事故
…食事中や食後に食べ物などを気管に詰まらせ窒息死してしまうなどの事故です。
③徘徊・無断外出
…施設内外の徘徊や無断外出により、行方不明や負傷をしたり、最悪のケースでは死亡してしまう事故です。
④誤薬
…事業者が利用者に、対象者や回数、時間帯(朝・昼・夜)を誤って配ったり、利用者自身が他人の薬を取ってしまったりなどして、本来服用するべきでない薬を服用してしまう事故です。
⑤利用者同士のトラブル
…利用者同士が喧嘩をしたり、セクハラをしたりする事故です。
⑥物の破損・紛失、金銭の窃取
…利用者が施設の器物を破損する、職員や他の利用者が、利用者の私物を破損・紛失したり金銭を窃取したりしてしまう事故です。
⑦介護行為などによる骨折・痣・出血・褥瘡・疥癬等による感染症など
…おむつ交換や移乗などの介護行為により骨折したり、圧迫があってあざが出来たり、出血したり(原因が不明のことも)、体位交換不足による褥瘡や、オムツや寝具の交換が不適当で不衛生のための感染症への罹患をしてしまったりする事故です。
⑧異色、食中毒
…食べ物ではないものを食べてしまったり、種々の原因により食中毒などが発生する類型の事故です。
⑨虐待
…職員による利用者への身体的・精神的な虐待事故です。親族による金員搾取などの経済的虐待と呼ばれるケースもあります。
⑩入所契約・利用料等に関するトラブル
…施設入所や訪問介護の契約内容や利用料の支払・返金などを巡るトラブルです。
⑪セクハラ、労務問題など職員自身の問題
…利用者が職員の体を触ったり卑猥な言動をしたりするセクハラの問題のほか、残業代未払、パワハラやセクハラなどの職員の労務問題などもあります。
この中でも、①転倒事故に至っては、介護事故全体に占める割合は8割を占めるとも言われており、非常に多い事故です。
次いで多いのが②誤嚥事故です。誤嚥事故の発生件数としては①転倒・転落事故ほどは多くないものの、誤嚥による窒息死をするなど、問題が深刻化することが多いといえます。
このように、一口に「介護事故」と言っても、多種多様な類型を含みますので、その予防方法や、解決手法、誰がどのような責任を負うのかの判断も、ケースバイケースで事案ごとに判断をしていかなければなりません。100通りの事故があれば100通りの予防方法や解決方法があります。もし介護事故でお困りの方は弁護士に相談することをお勧めします。